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葬式・葬儀、や 埋葬・火葬って、しないといけないの?<行政書士鈴木俊行>

更新日:4月11日

葬式・葬儀、や 埋葬・火葬って、しないといけないの?



そもそも葬式・葬儀とは何か?


*葬式・葬儀とは葬送儀礼のこと。通夜、葬儀式、告別式の総称。

*葬式・葬儀は、遺族にとって故人との一つの区切りとしての精神的けじめとなる効果(グリーフケア)がある。


・グリーフケア

グリーフケアは、遺族の複雑で深刻な心の状態を理解して寄り添うことで回復のサポートをする取り組み。

死別した遺族はやがて大きな衝撃から立ち直って自分の日常を取り戻し、新しい人生を切り開くことに繋がる。


・通夜

本来は夜通し灯りを消さずに、ご遺体を見守る儀式。

葬儀・告別式の前夜に、親族や親しい友人などゆかりの深い人々が集まって、故人の冥福を祈り、別れを惜しむ。遺族は夜通し灯明と線香の火を絶やさないようにするが、現在では夜のうちにお開きになる「半通夜」が主流。

半通夜とは、斎場・葬儀場の多くは、宿泊設備を持っていなかったり、防火上の理由から夜中は線香やろうそくの火を消さなければならなかったりするので、通夜のあとの会食後に解散するもの。


・葬儀式

葬儀の2日目に午前中から行われる告別式は、本来は葬儀式と告別式の2つの儀式からなる。葬儀式は、家族や親族が故人の冥福を祈り、見送る宗教的な儀式。


・告別式

例えが悪いが本来は結婚式での披露宴的なもの。親族以外の友人や知人、会社関係や近所の方など、一般の方とお別れをする必ずしも宗教的ではない儀式。現在では、葬儀式と告別式と区別がなく、一連の流れで行われるのが一般的。


ところで、

葬儀一般について法律上の規定はあるか?


実は、葬儀について定めた法律はない。

但し「墓地、埋葬等に関する法律」というものはある。


では、

墓地、埋葬等に関する法律(通称「墓埋法」)とは何か?


昭和23年に制定された、墓地や火葬場、埋火葬などについて定めた法律。

「信教の自由」「思想・信条の自由」の観点から、葬式・葬儀(思想や宗教)などに関しては言及されていない。

あくまで公衆衛生上の法律。


とはいえ、

葬式・葬儀・埋火葬の義務者は誰になるの?


第一に、葬式・葬儀の義務はない。

葬式・葬儀を行わないで埋火葬をするのみの直葬の形を取るケースも増えている。

埋火葬の義務者が誰になるのかも、法律上の明確な規定はない。


とはいっても、

実際には埋火葬義務者はいるのではないか?


事実上、埋火葬義務者に相当する者については、

戸籍法上の死亡届出義務者などが該当すると考えられる。

*その他には生活保護法、民法、刑法などの規定が参考になる。


生活保護法


生活保護法上の葬祭扶助では、

葬式・葬儀、埋火葬を執行するべき者を、扶養義務者の範囲としているように読める。


生活保護法

第十八条 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。

一 検案

二 死体の運搬

三 火葬又は埋葬

四 納骨その他葬祭のために必要なもの

2 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。

一 被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき

二 死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。

第七十七条 被保護者に対して民法の規定により扶養の義務を履行しなければならない者があるときは、その義務の範囲内において、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、その費用の全部又は一部を、その者から徴収することができる。

2 前項の場合において、扶養義務者の負担すべき額について、保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、保護の実施機関の申立により家庭裁判所が、これを定める。


葬祭扶助とは、

生活保護制度の一つで、検案、死体の運搬、火葬又は埋葬、納骨その他葬祭のために必要なものを扶助する保護費であり、親族の葬祭を行うにあたり困窮のため最低限度の生活を維持することができない方に対して支給する場合と、死者の葬祭を行う扶養義務者がないときに民生委員や入所施設の長といった第三者へ支給する場合とがある。


・葬祭扶助制度の支給条件

生活保護法では葬祭扶助を受けることができる条件を下記のように定めている。(生保法第18条 第1項、第2項より)


条件その1

遺族が困窮のため最低限度の生活を維持することができない場合。つまり葬儀を出さなければいけないが、最低限度の生活を維持できないほどの困窮状態で、葬儀の費用を捻出することができない場合。


条件その2

・扶養義務者がいない方が亡くなり、家主や民生委員といった方が葬儀を行う場合で、葬儀を行うのに必要な費用をまかなえるほどの金品を故人が遺留していない場合。

・亡くなった方が生活保護を受けていて扶養義務者がいない場合。


・なお、故人が生活保護を受けていても、その扶養義務者が葬祭費用の準備ができる場合は扶助されない。


民法(扶養義務)


・扶養義務 1 「生活保持義務」

扶養義務者自身と同じ水準の生活を、被扶養者にも保障する義務。

生活保持義務を負うのは、被扶養者の配偶者と、未成年の子どもである被扶養者の両親。


・扶養義務 2 「生活扶助義務」

扶養義務者自身の生活は通常どおり送れることを前提として、その余力の範囲内で、被扶養者を扶養する義務。

直系血族及び兄弟姉妹や、例えば成人済みの子どもに対する両親が負う扶養義務は、この生活扶助義務ということになる。


民法

第七百五十二条 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。

第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。

2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。

3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。


刑法(死体遺棄)


死体遺棄罪とは、

葬祭に関する社会の秩序を維持するために、死体を場所的に移転して放置したり、

葬祭をなすべき責任のある者が葬祭をなさずに放置すること】によって成立する。


ここで問題となるのは、

葬祭をなすべき責任のある者、

死体を埋葬する作為義務を負う者とは誰なのかということ。


遺棄とは、社会通念上埋葬と認められないような方法で死体等を放置することと解されている。

殺人犯が、殺した被害者の死体を山中に捨てたり、埋めたりするのが典型的な例。 

殺人犯が、路上で、被害者を殺し、そのまま放置して立ち去った場合については、遺棄には該当しないと思われる。


・原則として、死体を移動させる行為が必要。

例外的に死体を移動させなくても死体遺棄罪に該当する場合は、死体を埋葬する作為義務を負う者に限られると解される(不真正不作為犯)。


刑法

(死体損壊等)

第百九十条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。



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以上のことから、

事実上、埋火葬義務者はいることになる。


そうすると、

事実上、埋火葬期限はあるか? ということが気になる。


人の死後、

「葬式・葬儀をしなければならない」という義務はないにしても、

「埋火葬をしなければならない」

という決まりや期限はあるか?

ということについては、そのことを明確に定めた法律はない。


のであるが、


社会通念上、一般に認められる形での葬送が行われる予定もなく、

葬祭をなすべき責任のある者が葬祭をなさずに放置することは、

刑法190条の死体遺棄罪に該当する可能性が生じる。


(エンバーミング(遺体の保存処理)された遺体は理論的には腐敗しないので、埋火葬期限はないように思われるが、国民感情上無期限ということはない。

IFSA(一般社団法人 日本遺体衛生保全協会)ではその点を考慮し、自主基準で50日以内と制限をつけている。 

それは葬祭が充分に行われる期限ということで、四十九日の慣習等を考慮し、それを超えた保存は禁止していて、それは妥当な解釈であると思われる。)


難しいことはさておき、

遺体を、親族・遺族や同居者などが自宅などに放置し続けることなど、

一般に有り得ないことです。


葬式・葬儀は行わなくても、

遺族等のしかるべき人が、

すみやかに埋火葬はしなければならないということです。



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終活・相続・遺言・

墓・葬儀「法務」

行政書士 鈴 木 俊 行

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