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2「寺院会館の自動ドア」

更新日:2023年2月1日

「寺院会館の自動ドア」



寒い冬の夕刻から、私が寺務長として勤務する寺院で、

或る檀家様の通夜が執り行われた。


山門の脇にある敷地入口には、葬儀や法要などの法事の為に使う会館が建っている。


寺院のある場所は、JRの駅に近く、そこは商店街からすぐの住宅街で、

目の前は片側二車線の車道が走っている。


夜、歩行者はほとんどない。




つまり、普通の都会の静かな街である。



午後6時、リンを打つ深い音が響きわたり住職による読経が始まった。



あたりは既に真っ暗。


その日は、通夜は一件だけ。

会館は2階建てで、式場とお清め所は2階にある。

遺族や会葬者は合わせて10人程度のこじんまりしたもの。


既に通夜に参列する予定の方は揃っている。


私は、まだ万が一会葬者が来ることに備えて1階の寺院会館入口内のフロアに設置した受け付けカウンターにいた。

会館入り口は、道路に面した自動ドアである。入り口を入るとすぐそこは風除室で、

会館1階フロアに入るためにはもう一つの自動ドアを越える。


私のいる1階フロアもさほど広くはなく受け付けカウンターからは、

その2つの自動ドアがよく見える。




読経が始まって程なく風除室内側の自動ドアが開いた。


そして閉まらない。


しかし、誰もいない。


しかも、入り口の自動ドアは開かなかった。




自動ドアは光線式または熱線式で、光や熱に反応して開く。


当寺院の自動ドアは光線式で、

たまに蝶やゴミに反応して開くことがあるが、そのようなことはめったにない。


入り口の自動ドアがまれに歩行者などに反応して開いても、

内側にある風除室の自動ドアは開いたためしがない。




30秒程度して自動ドアは閉まった。

そしてまた10分ほどして風除室内側の自動ドアが開いた。


もちろん入り口の自動ドアは閉まったままである。

会館のフロアには誰もいない。



私は受け付けカウンターに座ったまま動いていない。


おかしい。。。




30秒程度して自動ドアは閉まった。

10分後あたりにまた再び風除室内側の自動ドアが開いた。


入り口の自動ドアは依然として閉まったままである。


そしてまた、

30秒ほどして閉まった。



そう、


読経中の約50分間に4〜5回、風除室内側の自動ドアだけが開閉したのだ。




入り口外に歩行者はいない。フロアにも私以外誰もいない。


いったい、風除室内側の自動ドアは、何に反応したのか。


それも読経中規則正しく数度も。。


読経が終わると、ピタリと止んだ。




終活・相続・葬祭「法務」 行政書士鈴木俊行 東京都杉並区阿佐谷 杉並区役所隣り


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