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孤立死、孤独死の場合、死亡届が出せないと戸籍上いつまでも生きてることに!?

執筆者の写真: 鈴木俊行鈴木俊行

更新日:2月6日

孤立死、孤独死の場合、死亡届が出せないと戸籍上いつまでも生きてることに!?



現代は独居高齢者の増加が進んでいます。

一人暮らしのまま亡くなる「孤立死」「孤独死」といったことが社会問題となっていますが、

そのような場合、

身元が分からないことから死亡届を出すことができずに(または、戸籍法上に定められている死亡届を出す人がいなくて)、

故人がいつまでも戸籍上は生きているという扱いになるレアケースがあります。

その場合、もちろん相続手続きもできません。


自宅での孤独死、孤立死の場合、

「異臭がする」などといったことから警察扱いになり、検案に回ると同時に身元の確認が行われます。


しかし、遺留品などから氏名等が分かっても、身近な親族の確認が取れない場合は、身元不明者として処理されてしまう可能性がある訳です。


もちろん戸籍法の規定により、死亡届出義務者と死亡届出資格者が定められていますが、

孤独死、孤立死の場合には、警察等の調査によってもそれら法定届出人がいないことがあるのです。


身元不明とされた遺体は警察署で安置された後、地元の自治体に引き渡され、墓地、埋葬等に関する法律や行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定に基づき、地元自治体によって火葬され、地元自治体の管理の下で納骨堂などに身元不明の遺骨として安置されます。


身元不明である以上、戸籍に死亡の記載はされません。


ただし、遠戚者、友人などからの故人の身元に関する証言により、戸籍法第九十二条の趣旨を援用し、実務上は地元自治体と協議の上で死亡記載申出という方法を用い、死亡届に代わる方法で戸籍の死亡処理がなされるケースもあるように思いますが、容易ではないようです。

縁戚者、友人などからの故人の身元に関する証言も得られないような場合は、この死亡記載申出も使えないものと思われ、戸籍上は生きたままとなってしまうでしょう。



この問題について、以下にまとめてみました。



【そもそも死亡届出は誰がするの? 孤独死、孤立死の場合の困難は】


① 戸籍法上の届出義務者


1 同居の親族、 2 その他の同居者、 

3 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人


家屋管理人とは、老人ホームの施設長、私立病院の病院長、貸家の場合の家主など


② 戸籍法上の届出資格者(可能者)


同居の親族以外の

1 親族、 2 後見人、 3 保佐人、

4 補助人、 5 任意後見人及び任意後見受任者


③ 戸籍法上の、その他の届出義務者


公設所の長又は管理人

公立病院の施設長、公立病院の病院長、福祉事務所長など


戸籍法

第九節 死亡及び失踪

第八十六条 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。

2 届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。

一 死亡の年月日時分及び場所

二 その他法務省令で定める事項

3 やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。

第八十七条 次の者は、その順序に従つて、死亡の届出をしなければならない。ただし、順序にかかわらず届出をすることができる。

第一 同居の親族

第二 その他の同居者

第三 家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人

2 死亡の届出は、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も、これをすることができる。


*第九十三条 第五十五条及び第五十六条の規定は、死亡の届出にこれを準用する。

第五十六条 病院、刑事施設その他の公設所で出生があつた場合に、父母が共に届出をすることができないときは、公設所の長又は管理人が、届出をしなければならない。


④ 死後事務委任契約の受任者


契約者(故人)の住所氏名、生年月日などの情報提供をするに留まり、手続き(届出)に関しては手が出せない。


⑤ 警察


死亡届出人がいない場合、最終的には自治体と警察などが協議のうえ、死亡届に代わり「死亡記載申出書」を作成して手続きなどを進め、火葬、納骨に至る(故人の身元が判明している場合)。身元不明の場合、死亡記載申出は使えない。身元不明者のまま地元の自治体に引き渡され、墓地、埋葬等に関する法律や行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定に基づき、地元自治体によって火葬され、地元自治体の管理の下で納骨堂などに身元不明の遺骨として安置される。


⑥ 遠戚者、友人など


遠戚者、友人などからの故人の身元に関する証言により、地元自治体と協議の上で死亡記載申出をするという方法もあり得るようだ。


戸籍法

第九十二条 死亡者の本籍が明かでない場合又は死亡者を認識することができない場合には、警察官は、検視調書を作り、これを添附して、遅滞なく死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。

② 死亡者の本籍が明かになり、又は死亡者を認識することができるに至つたときは、警察官は、遅滞なくその旨を報告しなければならない。

③ 第一項の報告があつた後に、第八十七条第一項第一号又は第二号に掲げる者が、死亡者を認識したときは、その日から十日以内に、死亡の届出をしなければならない。




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終活・相続・遺言・

墓・葬儀「法務」

行政書士 鈴 木 俊 行


東京都杉並区阿佐谷

杉並区役所隣り

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