人気の納骨堂、その問題点を知っていますか?
- 鈴木俊行
- 2022年11月3日
- 読了時間: 3分
*(納骨堂の開設に民間事業者が関わっている名義貸しの法的問題は先日ブログに書きましたので、今日は法律面には触れません)
葬送儀礼や供養方法についての考え方の多様化、
墓じまいブームなどにより、
比較的求めやすい価格帯で利便性の高い「納骨堂」に注目が集まるようになったのですが、
実は、「少なくとも、大型の自動搬送式納骨堂のブームには終わりが来る。」
とさえ言われています。
ブームに乗った納骨堂ですが、今や多数の納骨堂が存在し、
納骨堂自体が珍しくなくなり、
納骨堂開発にかかる巨額な投資、
立地や価格、設備内容に競争が激化していることが原因です。
ところで、
競争が激化し安価な納骨堂が出現するのは構いませんが、
問題は経営資源です。
納骨堂は建物である以上、いずれメンテナンスや改築・改装が必要となるのですが、
その際に預かった遺骨をどうするのかという問題や、
メンテナンスや改築費用を工面できるのかという問題が潜んでいます。
1999年に日本第一号の自動搬送式納骨堂を手がけたパイオニア的存在である「ニチリョク」、自動搬送式納骨堂の開発・販売を最も多くてがける「はせがわ」などは、
少なくとも都市部の納骨堂は飽和状態で、納骨堂販売の数字に陰りが見えていることを認識していると思います。
納骨堂経営に民間事業者の知見と資力が必要だとしても、
そこには墓埋法の問題(名義貸し)があるほか、
民間事業者であることから、採算の取れない納骨堂からは撤退することや、経営破たんや破産なども考えられます。
さらに、税金(固定資産税など)の問題があるのです。
2016年に、自動搬送式納骨堂を持つ東京都港区の或る寺院が、
東京都から「宗教法人の本質的な活動のためにもっぱら使用される建物および境内地にはあたらない」として固定資産税などの支払いを求められた事例があります。
寺院側は、宗派を問わず広く使用者を募集していることに対し
「教義を広くひろめてあまねく人に仏の慈悲をもたらす機会になる」と取消を求めたのですが、
東京地裁は都の主張を支持し、
寺務所や本堂を除いた部分とそれに応じた割合の土地に対して、固定資産税と都市計画税が課税されることとなったケースがあります。
そして、民間事業者が納骨堂開発に絡んでのトラブル。
大阪市の納骨堂の運営会社社長が架空経費を計上するなどして法人税など約2億1000万円を脱税したとして逮捕されたり、
東京都の寺院の納骨堂では、
複数の抵当権と68億円の巨額融資があったことが明るみになって、副住職ら数名が行方不明になり、宗教法人名を変え、納骨堂の名称も変えて寺院の立て直しをはかっている事例もあるようです。
納骨堂は、単なる建物ではなく、
永続性と公共性が求められる祭祀施設です。
営利目的の納骨堂販売、購入には注意が必要となります。
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終活・相続・葬祭「法務」 行政書士鈴木俊行 葬儀葬祭法務特捜部
東京都杉並区阿佐谷 杉並区役所隣り
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