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執筆者の写真鈴木俊行

配偶者や義実家の「墓」に入りたくない。その対策は!?

遺言書に「実家や自分の建てた墓に入る」と書けば大丈夫だろうか。


そもそも事前に、

あらかじめ自分が建てておいた個人墓に入るケースはともかく、実家の墓に入りたいという場合は、実家の同意やその墓のある霊園の規約に反しないかの確認が必要となる。

実家の墓に入りたいという場合は、霊園に打診するとともに実家に相談が必要。


では、配偶者や義実家の墓に入らずに実家の墓に入ることが可能だとして、

どのようにしてそれを確実にするのか。


死後に葬祭や納骨をしてくれそうな親族や友人などに、それらの希望を伝えて頼んでおくということが考えられますが、それでは不確実です。


遺言書に書いておけばよいでしょうか。


遺言は、相続分の指定や遺産分割方法の指定などの「相続に関すること」には法的効力がありますが、葬儀や墓のことについて書いても法的な拘束力は有りません。


とはいえ、遺言書で「祭祀承継者」について指定することができます。

祭祀承継者とは、祭祀財産を引き継ぐ者をいい、

祭祀財産とは、「系譜」、仏壇や位牌などの「祭具」、「墳墓」などのことで、民法はこれら祭祀財産については、預貯金や不動産などの相続や遺産分割とは別に考えることになっています。


また、遺骨は、相続財産ではなく、祭祀財産に準ずるものとして取り扱われている(参考・最高裁平成元年7月18日判決)ことに着目すれば、遺言者(亡くなった方)の意思で誰(祭祀承継者)が取得するかを決めることができます。


ということは、

親しい家族・親戚・友人知人に死後の納骨場所について伝えて、遺言書でその方を祭祀承継者として指定し、遺骨の納骨場所について記載しておくことはある程度は有効なものと言えます。


しかし、

祭祀承継者は、遺骨を含む祭祀財産を取得し、祭祀(納骨、年忌法要など)を主宰していくことになりますが、祭祀を行うことを義務付けられているということではなく、祭祀を行うかどうかなどを自由に決定することができます。


やはり、心もとないことになります。


もし、遺言書に書いても確実に実現できそうにない場合は。


死後事務委任契約では。


死後事務委任契約とは、委任者が第三者に対して、亡くなった後の諸手続、葬儀、納骨、埋葬に関する死後事務を委任する契約のことを言います。

死後事務委任契約は、委任者の死後、たとえ相続人であったとしても解除することができないとされています(参考・東京高裁平成21年12月21日判決)のですが、あえて「委任者の死後において、相続人は契約を解約できずに有効であるとの特約」を明記した方が良いでしょう。


しかし、相続人がいる場合には、死後事務委任契約があるとはいえ、死後事務の受任者はその契約の履行について相続人との協議が必要でしょう。また祭祀承継者がいる場合には、その方との協議も必要でしょう。


つまり、死後事務委任契約をもってしても、その確実性には疑問が残ります。


少なくとも、

行政書士等に相談して、遺言を用意し、死後事務委任契約を締結して、祭祀承継者や死後事務委任契約受任者に希望の墓地や納骨堂に納骨をしてもらうということを決めておくことは一定程度有効であると思います。


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終活・相続・遺言・墓・葬儀「法務」

行政書士鈴木俊行


「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」


東京都杉並区阿佐谷

杉並区役所隣り

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