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違法な粉骨・散骨か? 「埋葬の人骨、障害者に粉砕させる 就労支援施設「墓じまい頼まれた」」

違法な粉骨・散骨か? 「埋葬の人骨、障害者に粉砕させる 就労支援施設「墓じまい頼まれた」」


2023年3月29日、朝日新聞が報道した記事に

埋葬の人骨、障害者に粉砕させる 就労支援施設「墓じまい頼まれた」

2023年3月29日、熊本日日新聞が報道した記事に

「水俣市の障害者支援事業所、熊本県が指定取り消し 1485万円不正受給、利用者に墓じまいの人骨処理させる」

というものがあった。


墓じまいを頼まれたというこの問題について、

・埋葬の人骨を粉砕した行為

・粉砕した骨を市内の農地にまいた行為

という2点を検討する。


報道によれば、

「熊本県は29日、障害者の就労を支援する水俣市の一般社団法人さくら福祉会(龍進一郎代表理事)が、運営する事業所の利用者に埋葬された人骨を違法に粉砕させていたなどとして障害者総合支援法に基づく事業者の指定を取り消すと発表した。」

「熊本県障がい者支援課によると、不正があった事業所は法人が運営する水俣市の「希望の輪」。支援計画にない土木作業などを利用者に頻繁にさせたほか、個人から請け負った墓じまいでは遺骨5~6体をハンマーでたたき割らせ、県は人格尊重義務違反があったと認定した。砕いた骨は事業所の畑にまいていた。」

という。

また、

その法人は「一部の不正は認めるが、金額はもっと少ないはずだ。人骨の処理はスタッフが作業していたら、利用者がやりたいと言ったからやらせた」と話しているらしい。


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墓じまいを依頼されて

・埋葬の人骨を粉砕した行為

・粉砕した骨を市内の農地にまいた行為


「墓じまい」は、埋葬または納骨されている遺骨を墓などの埋葬・納骨施設から取り出して墓を撤去すること。

「改葬」は、埋葬または納骨されている遺骨を墓などの埋葬・納骨施設から取り出して、新たに別の墓などの埋葬・納骨施設に遺骨を移動すること。


なお、「改葬」について墓地埋葬法は、市町村長の許可を受けなければならない。


墓埋法

第二条

3 この法律で「改葬」とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すことをいう。

第五条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。


ところで、

施設側は改葬許可の手続きをとっていなかったようだ。

墓じまいのみならず改葬をすることを依頼されていたとなると、施設は違法に遺骨を墓等から取り出したことになるが、

改葬ではなく墓じまいして散骨をする前提であれば、墓埋法上の問題は生じないことになる。

墓じまいをして散骨することは、墓埋法上の「改葬」に該当しないことから改葬の許可が不要であることが理由である。

また、粉骨する行為も、葬祭を目的として遺骨をパウダー状にするのであれば違法とはされない運用である(法務省・検察)。

社会通念上、葬祭とみなされない方法で散骨する為に遺骨を粉骨化する行為は、遺骨損壊の容疑がかかる。


さらに、

砕いた骨は事業所の畑にまいていたようであるが、砕いた遺骨がパウダー状になっていたのかどうか。さもなければ遺骨遺棄の疑いがかかる。

パウダー状にした遺骨をまくという前提であるが、その畑が施設の自己所有敷地であれば、直ちに違法とはならないと考えられるが、自己所有地であっても売却する際などに問題となることもあり、他人の土地であれば直ちに法律上の問題を孕むことになる。



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終活・相続・葬祭「法務」

行政書士鈴木俊行


「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」


東京都杉並区阿佐谷

杉並区役所隣り

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