納骨堂の安易な利用には要注意という、札幌市の納骨堂「御霊堂元町」の実質的な経営破綻が意味するもの。
- 鈴木俊行
- 2022年12月8日
- 読了時間: 2分
札幌市の納骨堂が、競売に付され民間企業が落札し、利用者に対して遺骨を引き取るように呼びかけたことで、利用者は不安な日々を送っている。
この納骨堂は、
2012(平成24)年に、
白鳳寺が札幌市から経営許可を受けて事業を始めたのだが、
約3億円を市内の葬儀社から借り入れていたという。
利用者は、
30〜250万円の使用料を納めて使用権を購入していることから納得はできないだろう。
競落した民間企業は、
墓埋法上の許可権を持つ札幌市と協議をしているようだが、
納骨堂経営許可は民間企業には下りない。
競落した民間企業は、
競売に入札する時点で、この納骨堂の実態や許可の件を調べたのだろうか?
納骨堂経営の許可を受けられない民間企業では、
納骨堂の経営ができずに、遺骨が路頭に迷うことになるのだ。
納骨堂を撤去してビルの建設を計画することや納骨堂経営の承継をすることなど、
納骨堂の遺骨を勝手に納骨施設や倉庫等に移動ができない、
そもそも民間企業は納骨堂経営ができないという決定的な問題がある。
なにしろ納骨堂建設・開設には莫大な資金を要することが多く、
民間企業の資金提供や違法な名義貸し、宗教法人の売買などの問題も内在し、
しかも納骨堂は建物である以上経年劣化し、
いずれ改修や建て替えが必要になる。
行政の監督責任もあるだろう。
全国的に同様の問題を抱えている納骨堂はあちこちにあるのではないか。
多死社会を迎えて、儲かると考えた寺院や葬祭関連事業者、デベロッパーなどが、
多額な初期投資をして、結果的に乱立し供給過多となった納骨堂は、
大きなリスクを抱えているとみて差し支えない。
過度に進む葬送のビジネス化の中で、墓地や納骨堂の継続性、公益性が失われつつある。
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終活・相続・葬祭「法務」 行政書士鈴木俊行 葬儀葬祭法務特捜部
終活・葬祭法務ネットワーク協会代表
東京都杉並区阿佐谷 杉並区役所隣り
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