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相続放棄をするなら遺産を受け取ってはいけないのだから、「香典」も受け取れない?!

更新日:2023年7月19日

相続放棄を考えている場合、葬儀を主宰することはできるのでしょうか。

葬儀費用を相続財産から出してしまうことで問題となってしまうケースがあるため、

もちろん注意して進めることが必要となる場合があります。


そして、

葬儀を行った場合、香典をもらったら相続放棄をすることができるのか?



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相続の放棄をしようとする者は、

自己のために相続が開始したことを知ったときから3か月以内に、相続放棄の申述を家庭裁判所にしなければならないとこととなっています。


そこで、

相続放棄ができない場合とは、

以下の単純承認とみなされた場合などです。


① 単純承認とみなされる財産処分を行った場合

② 熟慮期間の間に限定承認や相続の放棄をしなかった場合

③ 相続放棄手続に不備があり、追完がなされなかった場合


民法

(法定単純承認)

第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。

二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。

三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

相続財産の全部又は一部の処分とは、

相続人が自己のために相続が開始した事実を知りながら相続財産の処分をしたか、少なくとも相続人が被相続人の死亡した事実を確実に予想しながらあえてその処分をしたことが必要と解されています(最高裁昭和42年4月27日判決)。

処分については、売却、譲渡、名義変更、代物弁済、債権の取立、預貯金の解約し、自己の財産と一体として扱う、抵当権の設定、遺産分割協議、債務の弁済などが当たるとされています。


では、相続財産からの葬儀費用の支出は、相続財産の全部又は一部の処分といえるのでしょうか。

処分とは、法律的、事実的に、相続財産の現状を変更する行為であると考えられています。そして、葬儀費用については、被相続人の社会的地位に応じて葬儀費用を支出することは通常想定されるものであるため、相続財産の現状を変更するまでとはいえないとして、一定の範囲内では法定単純承認とはならないと解されています(東京地方裁判所昭和59年7月12日判決)。


ただし、個別具体の事例においては、

上記の「一定の範囲では」についての範囲が不明確ですので、慎重な取り扱いが必要となります。

しかしながら、

葬儀費用を相続財産から支出せずに、葬儀主宰者が自らの負担で賄った場合は、全く問題は有りません。



●そこで香典は相続財産の処分となるのか、という問題です。


つまり、葬儀において香典を受け取った場合、単純承認となるのでしょうか、ということ。


香典は、被相続人の死亡により喪主・相続人が受ける弔慰金で、相続財産には該当しないと考えられています。


したがって、香典を受領する行為は、

相続財産を処分することには該当しないこととなるでしょう。



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終活・相続・葬祭「法務」

行政書士鈴木俊行


「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」


東京都杉並区阿佐谷

杉並区役所隣り

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