相続人の一人が故人の預金を使い込んでいた!
どうします?
相続が上手く円満に行われるのが望ましいですが、
必ずしもそうはいかないのが人の世です。
さて、
1 被相続人が死亡する前に使い込み(預金の引き出し)が行われた場合
被相続人の生前に銀行預金から多額の引出がなされていることがあり、
それを誰が引き出したのか、何に使ったのかが問題となることがあります。
被相続人が長期にわたって寝たきり状態にあり、
自分で銀行に引き出しに行くことができるような状態で無かったような場合や、
引き出した額に見合う使途が想定できないような場合、
被相続人の預金を事実上管理していた相続人等が、
勝手に自分のために費消したのではないかと疑念を持たれることになります。
預金から引き出した金員が被相続人の意思によりその者に贈与したということであると、特別受益の問題も生じますし、
また「被相続人のために使った」という言い分が反論として主張される場合があります。
預金から引き出して勝手に自己の為に使ってしまった金額を、
その者が受益(前受け)したものとして遺産分割協議の中で調整できれば問題はないのですが、
話し合いがつかず調停や審判でも解決しなければ、
預金の引き出しが被相続人の意思に基づかないものであった場合、
訴訟を提起して、預金を引き出した相続人に対し、
不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求をするということになります。
2 被相続人が死亡した後に使い込み(預金の引き出し)が行われた場合
銀行に対し被相続人の死亡を通知し口座が凍結される前に、
相続人が自分の法定相続分を超えて預金の引き出しを行った場合は、
当該引き出し行為は他の相続人に対する不法行為又は不当利得となり、
他の相続人は、預金の引き出しを行った相続人に対して返還を請求することができる可能性があります。
終活・相続・葬祭「法務」 行政書士鈴木俊行 葬儀葬祭法務特捜部
東京都杉並区阿佐谷 杉並区役所隣り