相続の開始原因である人の死亡について。「自然死亡」と「法的に擬制された死亡」
- 鈴木俊行
- 2022年10月5日
- 読了時間: 4分
更新日:2023年6月2日
相続の開始原因である人の死亡について。
「自然の死亡」と「法的に擬制された死亡(法律上の死亡)」
●自然の死亡
1 通常、事故や病気などで死亡した場合は、医師の死亡診断書か死体検案書が交付されます。
2 災害で行方不明になるなど、遺体が発見されないため診断書又は検案書が取れないなどのやむを得ない場合は、診断書又は検案書に代えて「死亡の事実を証すべき書面」が必要になります(戸籍法86条3項)。この場合、死亡現認書等が「死亡の事実を証すべき書面」となります。
戸籍法
第八十六条 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
② 届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
一 死亡の年月日時分及び場所
二 その他法務省令で定める事項
③ やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。
*戸籍法第86条第3項の「死亡の事実を証すべき書面」について
「法務省 民一第1364号 平成23年6月7日」
死亡届には,診断書又は検案書(以下「診断書等」という。)を添付しなけ
ればならないが,「やむを得ない事由」によって診断書等を得ることができな
いときは,診断書等に代えて「死亡の事実を証すべき書面」を添付することが
できる(戸籍法第86条第3項)。
「死亡の事実を証すべき書面」とは,特定人が死亡した事実を認定するに足
る資料であることが必要であり,死亡現認書等が,これに当たるとされている
(昭和24年3月25日付け民事甲第654号通達,同年6月9日付け民事甲
第1309号通達)
●認定死亡(自然死亡の一態様)
水難や火災等により、死亡したことは確実であるが遺体が見つからない場合があります。この場合は、警察棟の取調官公署が死亡の認定を行い、その報告に基づいて戸籍に死亡の記載をします。
認定死亡は、あくまでも死亡の推定とされています。
なお、戸籍には「死亡の推定年月日時分」が記載されます。
戸籍法
第八十九条 水難、火災その他の事変によつて死亡した者がある場合には、その取調をした官庁又は公署は、死亡地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。但し、外国又は法務省令で定める地域で死亡があつたときは、死亡者の本籍地の市町村長に死亡の報告をしなければならない。
●法的に擬制された死亡=失踪宣告
失踪宣告とは、法律で定められた一定の期間生死不明の者について、所定の時期に死亡したとみなす制度。
1 普通失踪
不在者の生死が7年以上明らかでないときに、不在者を死亡したとみなす制度。
不在者の生存が最後に確認できた時点から7以上経過した場合、家庭裁判所に普通失踪の申立ができます。
家庭裁判所で失踪申告の審判がなされると、7年間の期間満了時に不在者が死亡したとみなされます(民法31条)。
2 特別失踪
戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、その不在者を死亡したものとみなす制度のこと。
特別失踪では「危難が去った時」に死亡したものとみなされます(民法31条)。
民法
(失踪そうの宣告)
第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪そうの宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止やんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
(失踪の宣告の効力)
第三十一条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。
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終活・相続・葬祭「法務」
行政書士鈴木俊行
「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」
東京都杉並区阿佐谷
杉並区役所隣り
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