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生活保護受給者は葬儀をできない? 葬祭扶助とは?

生活保護法は、葬儀についても保障されています。

葬祭扶助として葬祭費用を「定められた範囲内で実費を支給」することになっています。


葬祭扶助は、

検案・死体の運搬・火葬または埋葬・骨壺や位牌など納骨その他葬祭のために必要なものについてカバーされます。

*葬式や告別式、骨を納める墓などは対象外


●葬祭扶助の対象となるのは


故人本人や葬儀を行うべき遺族が生活保護受給者もしくは相応する生活困窮者で、

葬儀を行う余裕のない人。


しかし、生活保護受給者であっても、葬儀ができる資産を有している場合は葬祭扶助を受給できません。

遺族に葬儀費を支払える人がいる場合も受給資格がありません。


故人に葬儀を行える遺族がおらず貯金もない場合は、親族以外の第三者が受給対象になります。

多くの場合は、賃貸住宅の大家か入居施設の代表者、入院していた病院の院長、知人、民生委員、近隣住民などで故人の葬儀を確実に行える人です。


これらの葬儀は、福祉葬・民生葬・生活保護葬と呼ばれます。


●葬祭扶助の申請方法


葬祭扶助を申請できる人は原則葬儀を行う人で、故人が居住する自治体の福祉事務所に申請。

福祉事務所からケースワーカーが派遣され、親族で葬祭費を出せる人がいないか、十分な貯蓄がないかを審査して葬祭扶助が適切かどうかの判断をします。

葬儀を行う経済的余裕があると判断されるため、葬儀費用を先に支払うと扶助を受ける資格がなくなってしまいます。

申請はすべての支払いの前に行い、許可が下りてから故人の葬儀・火葬を始めるようにします。


●生活保護受給者の納骨の選択肢


葬祭扶助は火葬場で骨壺に骨を入れるところまでが対象なので、その後のことについては検討が必要で、霊園に墓を設けること以外の安価な方法を選ばざるを得ません。

ただし、既にある一族のの墓への埋葬は可能。


・納骨堂

・手元供養(ただし、庭などに遺骨を埋めることは違法です)

・海洋散骨

・永代供養


●引き取り手がいない場合は


生活保護受給者を含む身寄りのない故人で遺骨を受け取る人がいなかったり、

遺族が遺骨の引き取りを拒否したりした場合は、最終的に無縁墓に埋葬されます。

引き取り手のいない遺骨はおよそ5年間(自治体による)、自治体の管理のもとに保管され、その後、他の遺骨と一緒に無縁墓へ合葬されます。

無縁墓に埋葬されてからの遺骨の引き取りはできませんので注意。


●直葬しかできなのか?


病院や施設などの死亡が確認された場所で遺体を安置、または葬儀社の遺体安置所に安置してから直接火葬場で、葬式や告別式を行わず火葬します。

葬儀社からの出棺や火葬場では、親族など近しい人が参列することができます。

ただし、

葬祭扶助は火葬のみの支給なので、読経を行う僧侶を呼んだり、告別式やそれに相当する会を開いたりすることはできません。そもそも通夜や葬式、告別式を行う資金がある場合は葬祭扶助の対象外です。


●香典は


香典など冠婚葬祭で得たお金や入学祝い金、国からの臨時給付金などは、収入としてみなされず申告をしなくてもよいことになっています。

納骨する際に発生する費用に充てたり、故人の家族のために使用したりしても問題ありません。

なお、生活保護受給者は生活保護費から香典を出すことはできないきまりになっています。


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生活保護法

(葬祭扶助)

第十八条 葬祭扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、左に掲げる事項の範囲内において行われる。

一 検案

二 死体の運搬

三 火葬又は埋葬

四 納骨その他葬祭のために必要なもの

2 左に掲げる場合において、その葬祭を行う者があるときは、その者に対して、前項各号の葬祭扶助を行うことができる。

一 被保護者が死亡した場合において、その者の葬祭を行う扶養義務者がないとき。

二 死者に対しその葬祭を行う扶養義務者がない場合において、その遺留した金品で、葬祭を行うに必要な費用を満たすことのできないとき。




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終活・相続・葬祭「法務」 行政書士鈴木俊行 葬儀葬祭法務特捜部

東京都杉並区阿佐谷 杉並区役所隣り

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