火葬後、お骨を受け取らないという選択に法律上の問題は?<行政書士鈴木俊行>
- 鈴木俊行
- 2023年1月12日
- 読了時間: 4分
更新日:4月7日
さまざまな事情により、
火葬後の遺骨を引き取りたくないというケースが有ります。
ご遺体を火葬した後、
お骨の引き取りを拒否して、その後の処理を火葬場に任せるという葬送方法があります。
故人との仲が悪かった、
とか
墓や納骨に関する経済的な問題、
例えば、
墓の購入費用や維持管理にかかる費用、
或いは後継者不在などの問題、などの理由で、
遺骨を一切受け取りたくないという場合の処理の仕方です。
一般的な葬儀では、遺骨は拾骨して骨壺に納め、遺族等が引き取り、墓地などに納骨するのが一般的ですが、
遺骨を一切受け取らない「焼き切り(*)」や「0葬(ゼロ葬)(*)」ではそのような負担を軽減できます。
しかし、
火葬場で、お骨の引き取り拒否を認めているかどうか、
それは自治体や火葬場によって異なります。
自治体が運営する火葬場においては、
「火葬場条例・規則」が定められていて、
火葬後の遺骨の引き取りに関して「焼骨の引取り」といった項目名で定められていることが多いです。
あらかじめ、
自治体、葬儀社または火葬場にお骨の引き取り拒否が出来るのか確認しておくことが必要になります。
遺骨の一部しか骨壺に納めない「部分収骨全体の3分の1程度を収骨) 」が主流の関西では、
全て火葬場で引き取ってくれる「焼き切り」や「0 葬 (ゼロ葬 )」ができる火葬場が比較的多いのですが、
遺骨のすべてを骨 壺に納める関東では、
すべての遺骨をお墓に納める”全収骨”の習慣があるため、
「焼き切り(*)」や「0葬(ゼロ葬)(*)」ができない火葬場がほとんどのようです。
東京でも遺骨全部の引き取りをしないで済む「部分収骨」のサービスをしている火葬場もありますので、
葬送供養方法の変化に合わせて、遺骨の引き取り拒否を認める自治体や火葬場は増えるかもしれません。
(*)遺骨を残さず燃やし尽くす「焼き切り」
焼き切り処分とは、通常の火葬では遺骨が残る程度に火葬するのに対し、
遺灰になるまで焼くことを指す。
この火葬方法を選択した場合、遺灰は火葬場の方で適切な方法で処分してくれて、
遺骨・遺灰 の処分に困ることはない。
骨壺にいったん遺骨を納めることすら行わない。お墓を用意しなくてよいことはもちろん、散骨をする必要すらないのが焼き切り処分。
但し、遺骨は拾骨することが原則なので、焼き切り処分が可能かどうかは予め火葬場等に問い合わせる必要がある。
(*)ゼロ葬(ゼロ葬)
ゼロ葬とは、宗教学者の島田裕巳氏が2014年に出した著書「0葬 あっさり死ぬ」(集英社)の中で提起した葬法。具体的には火葬後に火葬場から遺骨を受け取らず、そのまま立ち去ること。
骨壺にいったん遺骨を納めることすら行わない。お墓を用意しなくてよいことはもちろん、散骨をする必要すらないのがゼロ葬。
但し、遺骨は拾骨することが原則なので、ゼロ葬が可能かどうかは予め火葬場等に問い合わせる必要がある。
ところで、
「墓地、埋葬等に関する法律」や
「廃棄物処理法」
「刑法(遺骨遺棄罪)」その他の法令に照らして、
遺族が遺骨(焼骨)の一切を引き取らず、
その処理を火葬場等に任せても問題はないのでしょうか?
火葬場で荼毘に付した後に骨上げ(拾骨)されなかった遺骨は、
「産業廃棄物」ではない とされていて、
名前のない人骨(焼骨)となり、遺族も所有権を放棄したものとして取り扱われ、
「刑法でいう遺骨ではない」 と解釈さてい るようです。
したがって一部のみ拾骨し、残りを拾骨せずに火葬場に置いてきても、
刑法の遺骨遺棄には該当しないとされているようです。
そのうえで、
自治体や火葬場は引き取りを拒否された遺骨を、
納骨堂や合葬墓、提携の寺院等に納骨して供養をしているようですので、
通常は問題ないものと思われます。
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終活・相続・遺言・
墓・葬儀「法務」
行政書士 鈴 木 俊 行
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