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死後事務委任契約はどこまで有効なのか? 相続人がいる場合や遺言との関係に於いての限界と問題点

更新日:2023年6月19日

●死後事務委任契約はどこまで有効なのか?

「限界と問題点」 相続人がいる場合や遺言との関係に於いて


*おひとり様や身内と疎遠な方の死後事務を誰に託すのか?

*少子化社会・無縁社会の今日、死後事務委任契約が注目され、メディアやセミナーなどでも盛んにその活用が説かれています。


*ですが、安易な死後事務委任契約は問題があると考えられます。


死後事務委任契約受任者は死亡届の届出人になれないですし、葬儀の契約や施行についても死後事務委任契約受任者ができるのかということが一例として挙げられます。


それ以外には下記を ↓


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【1 死後事務委任契約とは 】


死後事務委任契約とは、文字どおり、死亡した後の事務的な手続を委任する契約です。


主に、役所への届出や親族・知人への連絡、葬儀・埋葬の手続や支払い、生前の医療費の清算等の事務(事実行為)を委任(準委任)するものとされています。


通常は親族がこのような事務を行いますが、相続人がいない場合や遠方に住んでいる等の場合には問題となります。


死後の事務手続について遺言の内容に盛り込むことも考えられますが、遺言はある意味で一方的な意思表示ですので、付言事項として死後の事務を誰かに任せても法的拘束力はありません。



そこで、予め、自分が死んだ後に必要となる諸手続を誰かに委任しておくことが有用です。


ここで、民法第653条が、委任契約は委任者の死亡によって終了する旨規定していることとの関係が問題となりますが、

委任者が死亡しても契約を終了させないという合意も有効であるとする最高裁判例があり、実務上、死後の行為を委任する契約も有効であると考えられています。




【2 死後事務委任契約の有効性】


さて、死後の委任契約が一般的に有効であるとしても、

どのような委任内容であっても常に有効というわけではありません。


死後の委任契約は、

内容によっては、遺言等の他の民法上の制度と矛盾・衝突しうるからです。


もっとも問題となるのは、遺言制度との関係です。



民法は、遺言の方式を厳格に定めており、

形式要件を満たさない遺言の法律的な効果を認めていません。


これに対して、死後事務委任契約は方式が定められておらず、口頭でも有効に成立します。 そうすると、死後事務委任の内容として財産の処分を委任するのは、民法が厳格に定めた遺言制度を潜脱することになるのではないかという問題があります。


この点について、実は、判例も学説もそれほど議論が煮詰まっておらず、どのような範囲で死後事務の委任が有効なのかについては、明確な基準がないのが現状です。


死後事務委任契約の内容として、遺品整理などの名目で、単なる事務手続にとどまらない財産の処分行為が含まれる場合もありますので、

その有効性について注意する必要があります。


また、相続人がいる場合には、死後事務委任契約の委任者の地位も相続人が承継することになります。


委任者はいつでも委任契約を解除できますので、

相続人は死後事務委任契約を解除できるのかという論点もあります。

最近は、任意後見契約とともに死後事務委任契約が結ばれることが多くなっているようですが、ケースに応じて、その内容と有効性を具体的に検討する必要があります。


基本的に推定相続人や親族がいる場合には、死後事務委任契約を受けるかどうか、冷静な分析が必要となります。




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終活・相続・葬祭「法務」

行政書士鈴木俊行


「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」


東京都杉並区阿佐谷

杉並区役所隣り

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