成年後見人は、葬儀、納骨、火葬などの死後事務ができるか?<行政書士鈴木俊行>
- 鈴木俊行
- 2022年11月30日
- 読了時間: 4分
更新日:4月11日
【成年後見人による火葬などの死後事務】
「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が平成28年10月13日に施行。
民法改正のポイントは,
(1) 成年後見人が家庭裁判所の審判を得て成年被後見人宛郵便物の転送を受けることができるようになったこと(郵便転送。民法第860条の2,第860条の3)
(2) 成年後見人が成年被後見人の死亡後にも行うことができる事務(死後事務)の内容及びその手続が明確化されたこと(民法第873条の2)
の2点です。
特に死後事務について
改正法により成年後見人が行うことができるとされた死後事務は,以下の3種類。
(1) 個々の相続財産の保存に必要な行為
(具体例)
・ 相続財産に属する債権について時効の完成が間近に迫っている場合に行う時効の中断(債務者に対する請求。民法第147条第1号)
・ 相続財産に属する建物に雨漏りがある場合にこれを修繕する行為
(2) 弁済期が到来した債務の弁済
(具体例)
・ 成年被後見人の医療費,入院費及び公共料金等の支払
(3) その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産全体の保存に必要な行為((1)(2)に当たる行為を除く。)
(具体例)
・ 遺体の火葬に関する契約の締結
・ 成年後見人が管理していた成年被後見人所有に係る動産の寄託契約の締結(トランクルームの利用契約など)
・ 成年被後見人の居室に関する電気
・ガス・水道等供給契約の解約
・ 債務を弁済するための預貯金(成年被後見人名義口座)の払戻し
成年後見人が上記(1)~(3)の死後事務を行うためには,
(1)成年後見人が当該事務を行う必要があること
(2)成年被後見人の相続人が相続財産を管理することができる状態に至っていないこと
(3)成年後見人が当該事務を行うことにつき,成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかな場合でないこと
という各要件を満たしている必要がある。
また,上記(3)の死後事務(民法第873条の2第3号)を行う場合には,上記の要件に加えて,
(4)家庭裁判所の許可
も必要。
民法
第873条の2 成年後見人は、成年被後見人が死亡した場合において、必要があるときは、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかなときを除き、相続人が相続財産を管理することができるに至るまで、次に掲げる行為をすることができる。ただし、第三号に掲げる行為をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。
一 相続財産に属する特定の財産の保存に必要な行為
二 相続財産に属する債務(弁済期が到来しているものに限る。)の弁済
三 その死体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産の保存に必要な行為(前二号に掲げる行為を除く。)
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Q 成年後見人は,遺体の「火葬」に関する契約に加えて,「納骨」に関する契約を締結することができますか。
A 例えば,遺骨の引取り手がいない場合には,成年後見人において遺体の火葬とともに納骨堂等への納骨に関する契約を締結することが考えられます。納骨に関する契約も「死体の火葬又は埋葬に関する契約」に準ずるものとして,家庭裁判所がその必要性等を考慮した上で,その許否を判断することになるものと考えられます。
Q 成年後見人は成年被後見人の「葬儀」を執り行うことができますか。
A 成年後見人に葬儀を施行する権限までは与えていません。葬儀には宗派,規模等によって様々な形態があり,その施行方法や費用負担等をめぐって,事後に成年後見人と相続人の間でトラブルが生ずるおそれがあるためです。したがって,成年後見人が後見事務の一環として成年被後見人の葬儀を執り行うことはできません。
もっとも,成年後見人が,後見事務とは別に,個人として参加者を募り,参加者から徴収した会費を使って無宗教のお別れ会を開くことは可能と考えられます。
以上、下記法務省サイトより引用
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終活・相続・遺言・
墓・葬儀「法務」
行政書士 鈴 木 俊 行
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