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多死社会で出現の「遺体安置ホテル」は合法か?

更新日:2023年7月20日


今や年間150万人もの方が亡くなり、

地域にもよるが葬儀社や火葬場は逼迫傾向。


それにより、

火葬まで待たされることがある。


それまでの期間、

遺体を預けたり、

遺族と故人がゆっくりと過ごす為の

「遺体安置所」や「遺体ホテル」にニーズが生じている。


都会では自宅での一時安置が難しくなり、

火葬待ちの状況が深刻な地域も生じていることからの

いわゆる”火葬難民”に向けの新たなサービスである。



(Yahoo!ニュース)という報道があった。



それによると、

「確かに東京や横浜は火葬場の数が不足しており、1週間も待たなければならないケースがあります。また、かつては亡くなると自宅に安置するのが一般的でしたが、住宅事情の変化で自宅での一時安置が難しくなっているため、葬儀場などにある安置施設を利用する人が増えています」。とはいえ、葬儀や火葬までの間、遺体安置施設に故人をひとりにするのは忍びないと考える人も多い。

「単なる保管にとどまらず、故人と遺族が一緒に過ごせる施設のニーズが高まっています。24時間いつでも面会できたり、同じ部屋で家族が付き添い、仮眠できたり。火葬までの間、故人と過ごす時間と空間を大切に考える人が増えています」

「一般のホテルのようにフロントがあり、手続きをすれば24時間いつでもご遺体と面会可能です。ご安置期間もできる限り故人と一緒にいたいというかたのために、ダイニングキッチンやリビングルームのある個室もご用意しています。個室で故人さまの好きな料理を作り、親族の皆さんで会食をされるかたがたもいらっしゃいます」(以上、上記報道から引用)


遺体安置ホテルの「ラステル新横浜」は、

地上9階地下1階の建物の中に24時間利用できる安置・面会室6室、安置から出棺まで貸し切り利用できる個室面会室1室、4つの式場を備えた家族葬・直葬の館だという。

料金:安置料1万1000円/1日、ドライアイス1万1000円/1日、寝台車お迎え(20km)3万9600円、棺13万2000円、白木位牌5500円、霊柩車(20km)5万9400円、骨壺セット1万3270円など。 火葬式(親族のみの葬儀・火葬)3泊4日の参考価格:27万9070円(会員25万4463円)(引用につき同上)。


安置期間中に遺族と過ごせる「遺体安置ホテル」と「葬儀式場」が一体となっているようだ。故人に寄り添って宿泊、安置葬ができる。



安置期間中に故人と家族が同じ部屋でともに過ごせる滞在施設は『想送庵カノン』というのもある。

料金:スタジオ(洋室・和室) 7万7000円/15時~翌日14時まで、4万9500円/3時間の利用(営業時間内)寝具:3300円/1組、4名以上の夜間滞在は夜間使用料:2200円/1人。 アネックス(冷蔵安置室)と面会室 1万1000円/24時間毎(損傷遺体や感染症遺体など特別な対応が必要な場合は1万6500円/24時間毎)



さて、

遺体安置所について、

法律上の規制がない。

葬儀社についても同様である。


遺体を安置する施設を設けても、都市計画法や建築基準法などの法令を除き、

遺体安置というそれそのものについては何らの規制がない。


ただし、

生きた人間が宿泊する場合には「旅館業法」というのがあり、経営には許可が必要だ。


旅館業法

第三条 旅館業を営もうとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあつては、市長又は区長。第四項を除き、以下同じ。)の許可を受けなければならない。ただし、旅館・ホテル営業又は簡易宿所営業の許可を受けた者が、当該施設において下宿営業を営もうとする場合は、この限りでない。


ただし、

旅館業法には厳しい基準がある。

遺体と共に人を宿泊させることに、衛生上の基準を満たす必要がある。


旅館業法

第四条 営業者は、旅館業の施設について、換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない。

2 前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める。

3 第一項に規定する事項を除くほか、営業者は、旅館業の施設を利用させるについては、政令で定める基準によらなければならない。



また、


旅館業法

第五条 営業者は、左の各号の一に該当する場合を除いては、宿泊を拒んではならない。

 宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかつていると明らかに認められるとき。

 宿泊しようとする者がとばく、その他の違法行為又は風紀を乱す行為をする虞があると認められるとき。

 宿泊施設に余裕がないときその他都道府県が条例で定める事由があるとき。


の規定により、

一般の宿泊者の宿泊の申し込みを拒むことについても要件がある。



遺族と故人が共に過ごす「遺体ホテル」専門の業態であって、

そこにそれとは関係のない一般の宿泊希望者がいたとしても、その方の宿泊を断ることはできない。



とはいえ、「遺体ホテル」と銘打っているホテルに、

それとは関係のない普通の宿泊客が泊まりたいというケースはないだろうが。。



思うに、

「人と遺族が宿泊するホテル」や

「遺体安置所」には、

衛生管理上の問題をクリアにするため、

法律上の許可にかからしめるような規制が必要ではないだろうか?




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終活・相続・葬祭「法務」

行政書士鈴木俊行


「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」


東京都杉並区阿佐谷

杉並区役所隣り

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