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事例)国民生活センターADR「葬儀代に関する紛争」

国民生活センターADR「葬儀代に関する紛争」



報道発表資料

令和 5 年 6 月 28 日

独立行政法人国民生活センター

紛争解決委員会

国民生活センターADR の実施状況と結果概要について(令和 5 年度第 1 回)


上記資料のうち「葬儀代に関する紛争」を以下に引用する。




【事案 15】葬儀代に関する紛争


1.当事者の主張


<申請人の主張の要旨>

令和 4 年 7 月、母が他界し、母が平成 12 年に加入していた相手方冠婚葬祭互助会を利用し、相手方の葬儀会館で、葬儀を行うことにした(冠婚葬祭互助会の会費は月 2000 円、120 回払い。全額支払い済み、以下「本件会員契約」という。)。

母が他界した当日、相手方と打ち合わせをし、家族葬で列席者は多くとも 8 名、受付はおく必要がないことなどを伝え、小規模な葬儀を希望することを伝えた。

翌日午前中の打ち合わせで、当初約 114 万円の見積もりが提示されたが、祭壇用の遺影写真は事前に母が用意したものがあると伝えたところ、約 111 万円の見積もりを提示された。

葬儀後、相手方から、約 106 万円の支払いを求める請求書が届いた。請求書には、①祭壇装飾、②会場・控室使用料、安置室使用料、③式進行料が含まれていた。しかし、母が相手方から渡されていた互助会のパンフレットを確認したところ、本件会員契約に基づく役務として、「祭壇、袖祭壇、祭具一式の飾りつけ」「会館使用料を全額負担」「司会進行」と記載されており、本件会員契約約款にもおおむね同様の記載があった。そのため、これらの費用については支払う必要がないと考え、相手方に連絡をしたが、認めなかった。

消費生活センターに相談し、相手方と三者面談を行った。相手方は「祭壇装飾は花代であり、

申請人が希望する量の花を飾るには追加で費用が必要、控室と安置室の使用料は会館使用料全額負担に含まれない。司会をプロに頼んだ場合は有料」などと主張し、あっせんは不調に終わった。

なお、葬儀代については 9 月に 40 万円、約 27 万円の 2 回に分け、上記①から③までの費用相当額の約 38 万円を除いた約 67 万円を支払い済みである。

相手方から請求されている約 38 万円の請求を取り下げてほしい。


<相手方の主張の要旨>

和解の仲介の手続に協力する意思がある。

相手方は、申請人に対し、葬儀費用の見積もり時に、互助会の役務内容および各種商品を説明し、申請人がグレードアップの商品を選択した場合には、役務相当額として特典控除の金額および追加料金についてきちんと説明している。申請人から葬儀費用の見積もりの内容および見積金額に関し見積もり内容を確認したことならびに見積金額に不明な点がないことについて確認書面を受領しており、また、見積もりの内容通りに商品および役務の提供をしていることから、相手方に債務不履行はなく、申請人は残金約 38 万円を支払わなければならない。申請人の主張をすべて認めることはできないものの、解決のため、司会進行料約 3 万 5000 円を請求から削除するものとする。

申請人が相手方に対し、約 35 万円を支払うことで解決したい。


2.手続の経過と結果(不調)


第 1 回期日において仲介委員は、当事者から本件葬儀契約締結の経緯等について聴取した。

申請人は、父が亡くなった時も相手方で葬儀を行った経緯があると述べ、今回は、家族葬で小規模な葬式を希望すると相手方に伝え、骨つぼやひつぎは父と同じ高価な商品を積極的に選んだが、祭壇の花については、量を示す写真等を見せられたこともなく、なぜ花代として 25 万円もの高額な費用がかかるのか分からないと主張した。会館使用料についても、パンフレットを見れば、一切費用が発生しないと考えられ、司会進行料については、プロに頼まない場合の金額は示されていないと主張した。

相手方は、互助会の役務で提供される花は、パンフレットにある祭壇上の一対の花立てに入る、握って持つ程度の花の量であり、故人のためにより多くの量の花を飾りたいという場合、5 万円刻みで花の量を変更し、写真を提示して選択してもらうと述べ、申請人にも写真を提示したと主張した。会館使用料のうち、安置室や控室の使用料については、役務相当額として特典控除はあるものの全額負担は適用されない、司会進行料については、自社従業員による司会進行ならば役務に含まれるため追加料金は掛からないが、プロに頼んだから追加料金が必要になったと説明した。

仲介委員から相手方に対し、約款やパンフレットを見ると、祭壇装飾については、一般的にはある程度の花は含まれていると考えられるところ、どの程度の量の花が特典に含まれているのか明記されていないことは問題ではないか、司会進行料ならびに安置室および控室の使用料についても、約款等の表示からすれば追加の費用はかからないと理解できることを指摘した。指摘に対し相手方は、契約時に申請人から確認書へのサインを得ていることを根拠に、請求金額通りの支払いを求めると主張したが、仲介委員は、本事案は、契約にかかる経過が論点となっていると説明した。

仲介委員は相手方に対し、花の量を説明するために申請人に示した資料や外部の業者への発注に関する資料を提出するよう依頼するとともに、司会進行料の免除以上の譲歩の余地がないか、今一度検討するよう依頼した。

期日後、相手方より資料が提出された。

第 2 回期日にて、申請人は、相手方から提出された資料のうち、確かに一部の写真は見た記憶があるが、約款やパンフレットでは、祭壇装飾、安置室および控室使用料、司会進行料は互助会費用に含まれていると誤認させるような記載がなされており、実態と大きく齟齬が生じていることが問題であると主張した。

相手方は仲介委員に対し、提出した資料の概要を説明した上で、やはり司会進行料の免除以上の検討の余地はないと述べた。

仲介委員が申請人に相手方の検討結果を伝えたところ、申請人は、司会進行料に加え、安置室および控室の使用料分の支払いを免除してほしいと述べたことから、仲介委員から相手方に対し申請人の希望(請求金額約 38 万円に対し約 10 万円の値引き)を伝えたが、司会進行料の免除以上の検討の余地はないとの回答であった。

仲介委員は、本手続において両当事者間に和解が成立する見込みがないとして手続を終了させた。


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終活・相続・葬祭「法務」

行政書士鈴木俊行


「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」


東京都杉並区阿佐谷

杉並区役所隣り

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