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ペットブームの中、人とペットとを合葬することは合法?


ペットの飼い主と大切なペットを同じ墓に合葬することができる墓地が増えてきているようである。


しかし、


①ペットの遺骨は、廃棄物処理法上は一般廃棄物に該当するから人の焼骨と合祀はできないのでは?


②そもそもペットの遺体をペット火葬場で火葬することは合法なのか?


という疑問をクリアしなければなりません。



民法的には、どこに埋葬しようとも

ペットを埋葬して、公共や近所に迷惑がかかった場合は、

損害賠償を請求されることもあります。




さて、行政法上などでは問題はないのか。


他人の土地、公園、空き地などで火葬・埋葬することは

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」などに抵触する可能性があります。


「廃棄物処理法」には、

・何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

・何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。

一 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却


「軽犯罪法」による罰則の対象には、

・公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者


という規定があるからです。



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「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」


(定義)


第2条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。

2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。

3 この法律において「特別管理一般廃棄物」とは、一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものとして政令で定めるものをいう。

4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。

一 事業活動に伴つて生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物

二 輸入された廃棄物(前号に掲げる廃棄物、船舶及び航空機の航行に伴い生ずる廃棄物(政令で定めるものに限る。第十五条の四の五第一項において「航行廃棄物」という。)並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物(政令で定めるものに限る。同項において「携帯廃棄物」という。)を除く。)


(清潔の保持等)


第5条 土地又は建物の占有者(占有者がない場合には、管理者とする。以下同じ。)は、その占有し、又は管理する土地又は建物の清潔を保つように努めなければならない。

2 土地の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有し、若しくは管理する土地において、他の者によつて不適正に処理された廃棄物と認められるものを発見したときは、速やかに、その旨を都道府県知事又は市町村長に通報するように努めなければならない。

3 建物の占有者は、建物内を全般にわたつて清潔にするため、市町村長が定める計画に従い、大掃除を実施しなければならない。

4 何人も、公園、広場、キャンプ場、スキー場、海水浴場、道路、河川、港湾その他の公共の場所を汚さないようにしなければならない。

5 前項に規定する場所の管理者は、当該管理する場所の清潔を保つように努めなければならない。

6 市町村は、必要と認める場所に、公衆便所及び公衆用ごみ容器を設け、これを衛生的に維持管理しなければならない。

7 便所が設けられている車両、船舶又は航空機を運行する者は、当該便所に係るし尿を生活環境の保全上支障が生じないように処理することに努めなければならない。


(投棄禁止)


第16条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。


(焼却禁止)


第16条の二 何人も、次に掲げる方法による場合を除き、廃棄物を焼却してはならない。

一 一般廃棄物処理基準、特別管理一般廃棄物処理基準、産業廃棄物処理基準又は特別管理産業廃棄物処理基準に従つて行う廃棄物の焼却

二 他の法令又はこれに基づく処分により行う廃棄物の焼却

三 公益上若しくは社会の慣習上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの


(罰則)

第25条 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

十四 第十六条の規定に違反して、廃棄物を捨てた者

十五 第十六条の二の規定に違反して、廃棄物を焼却した者

2 前項第十二号、第十四号及び第十五号の罪の未遂は、罰する。



「軽犯罪法」


第1条 左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。

二十七 公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者


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ところで、


大阪府のHPには次のような記述があります。


Q22 ペットの死体は廃棄物になるか?

A22 宗教的・社会的慣習等により埋葬及び供養が行われるものについては、社会通念上廃棄物処理法に規定する「汚物又は不要物」に該当しませんので、愛玩動物(ペット)の死体は廃棄物には当たりません。ただし、埋葬・供養するとして飼い主から預かったペットの死体を火葬及び返骨等の処理を適正に行わずに処分する場合は、廃棄物(一般廃棄物)に該当します。また、埋葬及び供養を行うことが、宗教的・社会的慣習となっていないものについて、供養を行うという理由だけで社会通念上廃棄物処理法に規定する「汚物又は不要物」に該当しないとすることはできません。 なお、道路管理者が路上で斃死した動物の死体を回収し供養等を行わずに焼却する場合は、一般廃棄物に該当します。



また、環境省のHPには次のような記載があります。


動物霊園事業に係る廃棄物の定義等について

公布日:昭和52年07月16日

環整125号

(兵庫県生活部長から厚生省環境衛生局水道環境部長あて照会)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の解釈について、別添のとおり宝塚市より疑義がありましたので、照会します。

 なお、動物霊園事業者より一般廃棄物処理業の許可申請が提出されており、その取扱いについて早急に判断する必要に迫られておりますので、至急御回答願います。


別表

   廃棄物の定義等について

(昭和五二年七月一二日)

(宝環一第一〇八号)

(宝塚市長から厚生省環境衛生局水道環境部長あて照会)


 平素より清掃事業に対し、御指導、御協力を賜わり厚く御礼申し上げます。

 つきましては、左記動物霊園事業に対する廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四五年法律第一三七号)上の取扱いについて疑義が生じましたので、御多用のところ誠に恐縮ですが至急御教示願いたく照会いたします。



1 事業概要

  当市内ににおける犬・ねこ等の動物の死体は、飼主の所有権放棄による一般廃棄物として市が引き取って焼却処分しているが、一部飼主はその愛玩動物の遺骨埋葬を望むがために、民間の動物霊園なるものを利用する。当該動物霊園事業は、これら飼主からの申込により動物の死体の引取、火葬、墓地埋葬及び供養等を行い、規定の料金を受けるものである。なお、この料金は当市条例に定める動物の死体の収集、運搬及び処分に関する手数料の限度額を大幅に越えている現状である。


 〔当該施設概要その他〕


 (1) 敷地面積 約八九五二m2

 (2) 墓地施設(事務所、焼却場等の建造物) 約一六二m2(敷地内)

 (3) 動物火葬炉(二基共通)

  ア 焼却量 三〇kg/Hr

  イ 火床面積 一・一二五m2

  ウ 炉内容積 〇・六八m3

  エ 炉内温度 八〇〇℃

  オ 燃料 A重油

 (4) 料金等

  ア 搬入 持込又は出張引取

  イ 料金 (一例)引取、火葬、埋葬一式 一万一〇〇〇円

  ウ 営業区域 兵庫県内


2 疑義事項

 (1) 昭和五二年三月二六日環計第三七号貴部計画課長通知にて一部改正された後の昭和四六年一〇月二五日環整第四五号厚生省環境衛生局環境整備課長通知第一の一の規定に基づけば、当該動物霊園事業における動物の死体は、法第二条第一項に規定する「廃棄物」に該当しないものと解するがどう

 (2) また、「廃棄物」である場合において、当該動物霊園事業が法第七条第一項に規定する許可対象の一般廃棄物処理業に該当するものであるか否か。


(昭和五二年八月三日)

(環計第七八号)

(厚生省環境衛生局水道環境部計画課長から兵庫県生活部長あて回答)


 昭和五二年七月一六日付け環整第一二五号をもって照会のあった標記の件について、左記のとおり回答する。



 照会に係る動物霊園事業において取り扱われる動物の死体は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二条第一項の廃棄物には該当しない。





******結論*******


つまり、動物霊園事業において取り扱われる動物の死体は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二条第一項の廃棄物には該当しない。

宗教的・社会的慣習等により埋葬及び供養が行われるものについては、社会通念上廃棄物処理法に規定する「汚物又は不要物」に該当しないので、愛玩動物(ペット)の死体は廃棄物には当たらない。



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終活・相続・葬祭「法務」

行政書士鈴木俊行


「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」


東京都杉並区阿佐谷

杉並区役所隣り

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