ひとつの墓に一緒に納骨できる人の範囲は?
- 鈴木俊行
- 2023年6月13日
- 読了時間: 3分
ひとつの墓に一緒に納骨できる人の範囲は?
「自分が引き継いでいたはずの墓に、いつのまにか勝手に親族の遺骨を納骨された」というトラブルを聞くことがあります。
寺院や霊園の墓地管理者は、
祭祀主宰者の意向に反した方の遺骨を納骨するとは考えにくいのですが、
相続のときに祭祀承継者を決める際、何らかの手違いやトラブル等によって、
祭祀主宰者であることを主張する方の意向に反して不本意な納骨をされてしまうことが有るのだろうと思います。
ところで、
ひとつの墓に一緒に誰が入れるのかという決まりは有るのでしょうか?
*法律上は、それに関する決まりはない。
①墓地の管理規則の上で、1墓所については1家系を原則としている。
*(例)墓地名義人の方の兄弟の遺骨については、その兄弟が未婚、もしくは子供がいない単身者である場合などを除き、婚姻をした(昔でいうなら分家した)兄弟姉妹の納骨を原則的に認めない。など
②特に範囲を限定せず、墓地使用者の同意を得たものについては全て認めている。
③親族以外の埋蔵には、別途その旨の申請書を提出させ、これを検討した後、ケースに応じて認めている。
*「親族」については、民法が規定するところの「6親等内の血族および配偶者、3親等内の姻族」という定義に拠っている場合、あるいは、「直系血族及び配偶者」「2親等以内」といった基準を設けている場合など様々です。
などなど、つまりは墓地・墓園などによっていくつかのパターンが有ります。
「特に範囲を限定しない」としている場合でも、制限なく認めていては、なんだか「合祀墓」のようになってしまう懸念がありますから、墓の使用規則において「使用者の希望する埋蔵がすべて認められる」ということではありません。
ほとんどの場合、墓の利用規則には、「焼骨の埋蔵は、霊園管理者の許可が必要である」といった規定があり、これにより埋蔵の範囲についても霊園側が適切な指導をすることになります。
「埋蔵の範囲」が定められている場合であっても、遺族関係者間でよく話し合って、かつ霊園側が具体的な内容を聞き取って判断するのが望ましいと思います。
一緒に納骨された遺族関係者が将来において様々な問題に直面することは避けなければなりません。
墓園によっては、「墓所の使用名義人が主宰する祭祀の下に置かれる」という旨を明記した書類の提出を求めているケースもあります。後日のトラブル防止という点で、参考になる方策の一つだと思います。
ところが、
埋蔵の範囲をあまり制約して考えてしまうと、
墓の承継時のトラブルが避けられる反面、関係者の家系が途絶えたり墓守ができなくなったりしていずれは無縁墓となってしまうという懸念もあります。
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終活・相続・葬祭「法務」
行政書士鈴木俊行
「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」
東京都杉並区阿佐谷
杉並区役所隣り
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