都市部で新設が相次ぐ「納骨堂」は、宗教施設と言えるのか(「納骨堂」を巡る建設反対訴訟から)
- 鈴木俊行
- 2022年12月11日
- 読了時間: 2分
更新日:2023年7月19日
都市部で新設が相次ぐ「納骨堂」は、宗教施設と言えるのか(「納骨堂」を巡る建設反対訴訟から)
「大阪市内で計画された納骨堂が、
建築基準法上の用途違反に該当するとして、
建築確認の取り消しを求める集団訴訟」
(以下、
の記事に基づく。)
その建築計画は、
大阪府内で仏教寺院を運営する或る宗教法人(寺院)の代表役員(訴外)が建築主となった納骨堂。
「納骨堂」とは、
故人を荼毘に付した後、遺骨を収蔵し、法要などを行う施設。
その建築計画の施設は、
鉄筋コンクリート造の地上6階建て、
高さ24.5m、延べ面積1891.13m2。6000基以上の遺骨を収める納骨施設、複数の参拝室や法要室(本堂部分)を備えていたという。
2017年7月に確認申請を実施。
計画名称は「***寺別院改築工事」。
主要用途は「寺院」。
工事種別は「新築」。
翌8月には建築確認が下りたようだ。
ところが、
近隣住民は意義を唱え、
施設の建設目的について「宗教法人本来の宗教活動ではなく、倉庫事業に当たる」と、強く反発したもの。
建築予定地は第一種住居地域。
つまり、納骨堂が「倉庫事業目的」であるなら、
この用途は建築基準法48条5項が定義する「第一種住居地域に建築してはならない建築物」(別表第2(ほ))の1つ、「倉庫業を営む倉庫」に該当する可能性があるということらしい。
もし該当する場合、建築主は建基法48条ただし書きに基づく自治体の許可を受ける必要があるとして、住民側は、確認検査機関には「倉庫業を営む倉庫」に該当するのに確認を下ろしたという違法があることから、建築確認の取り消しを求めた。
住民側は2017年10月に大阪市建築審査会へ審査請求を実施したが、
一部却下、一部棄却の裁決を受けた。
国土交通大臣への再審査請求も棄却され、
2019年7月17日、確認検査機関を相手取り、
確認取り消しを求めて大阪地方裁判所へ提訴。
2019年12月に施設が完成したことを受け、原告側は訴えを確認検査機関や特定行政庁である大阪市への国家賠償請求などに切り替えた。請求額は11万円。被告側は「建築確認は適法」と主張して争った。
簡単に言うと、
納骨堂は「宗教施設」か、「倉庫」か。
ということのようだ。
この問題、
地裁では、
都市の納骨堂「建築確認は適法」
用途違反を訴えた反対住民の請求棄却、大阪地裁
(2021年5月20日判決)
となったようである。
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終活・相続・葬祭「法務」
行政書士鈴木俊行
「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」
東京都杉並区阿佐谷
杉並区役所隣り
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