東京都行政書士会 令和7年度に「高齢者法(ジェロントロジー)業務部門の設置を検討する」<行政書士鈴木俊行>
- 鈴木俊行
- 3月27日
- 読了時間: 7分
更新日:3月31日
東京都行政書士会
令和七年度基本方針及び事業計画概要案
私が2年以上をかけて理事として提言してきた
「高齢者法及びその関連法領域に関する新たな部署の創設について」
令和七年度に、
「高齢者法(ジェロントロジー)業務部門の設置を検討する」旨、
2025年3月25日の東京都行政書士会理事会で承認を得ました。
(令和7年度基本方針及び事業計画概要(案))
超高齢化社会の日本、
政府も認識をしている「高齢者等終身サポート事業」の問題が、
今や大きな社会課題となっている我が国において
行政書士が、終活、相続、信託、遺言、財産管理、後見、葬儀・墓、入院保証問題その他で業務を通じて社会貢献すべきであると考えています。
令和七年度に新たに部署創設は叶いませんでしたが、
まずは小さな第一歩です!
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「高齢者法及びその関連法領域に関する部署発足の提言(趣意書)」
理事 鈴木俊行(杉並支部)
*要点
東京都行政書士会内に高齢者法(ジェロントロジー)関連領域に特化した部署を発足させることを提言致します。
当該部署は、終活・財産管理・後見・民事信託・葬儀葬祭・死後事務などの行政書士業務と深く関連する横断的な高齢者の法的問題・権利擁護いわゆる「高齢者法及びその関連法領域」に重点を置くことを目的とします。
*説明
2025年には団塊の世代が75歳以上となり、4人に1人が75歳以上ということになります。また、年間の死亡者が161万人にのぼるなど、我が国の高齢者を取り巻く法的諸問題は山積していると考えられます。
例えば、総務省が2023年8月に、必要な施策の検討に資するよう、厚生労働省、消費者庁及び法務省に通知したものとして、「身元保証等高齢者サポート事業」の需要の増加が見込まれるところ、同事業は、身寄りのない高齢者が利用者であることが多く、本人の死後の事務を委任したりするなどサービス内容が多岐にわたり、かつ、契約内容が複雑で費用体系も明確ではないといった特徴から、消費者保護の必要性が高いものとなっていて、現状では、事業者が提供するサービスについて直接規律・監督する法令・制度等はなく、監督官庁や事業者団体も存在しないため、利用者とのトラブルも発生しているが、対策が十分に講じられてきたとは言えない状況である。」というものがあります。
それを受けて、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が2024年6月に政府(内閣官房(身元保証等高齢者サポート調整チーム)、内閣府 孤独・孤立対策推進室、金融庁、消費者庁、総務省、法務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)から発出されています。
今や行政書士が日ごろ扱う相続・遺言等の業務のみならず、世の中の超高齢社会の進展と共に、終活・財産管理・後見・身元保証・民事信託・葬儀葬祭・死後事務・遺品整理などに関する高齢者の法的問題、権利擁護いわゆる「高齢者法及びその関連法領域」「高齢者等終身サポート」に関する行政書士業務(法定外業務を含む)は格段に重要になり、行政書士の社会的使命は重大なものになっていると考えております。
また、「日本行政(日本行政書士会連合会会報誌)」2023年1月号及び5月号などでは、高齢者法と行政書士の役割に関する論説が掲載されたり、行政書士による権利擁護セミナーとして「『身元保証等高齢者サポート事業とは』~行政書士との関わり方を考える~」という講習会を今年の2月5日に開催するなどしていて、日本行政書士会連合会においても高齢者法に関する問題に着目しています。
相続手続きを中心として民事信託、後見事務、遺言執行、死後事務など行政書士が現に扱っている高齢者に関わる業務は多数ありますが、それら個々のテーマを横断的複合的に俯瞰しかつ最近に於いては超高齢社会・多死社会・無縁社会の到来により社会的問題となりつつある身元保証、孤独死、遺品整理、祭祀、葬儀、墓の問題などに至るまで、総合的な高齢者の死後を含む権利擁護を研究して社会貢献を行うことと行政書士実務につなげていくことを目的にして、日本行政書士会連合会と連携しつつ東京都行政書士会も具体的に対応するべきかと思います。
これらにつきましては、他士業会では既に取り組みを始めているところがあるうえ、行政書士会としても急ぎ取り組むべき重要なテーマであると考えています。
*高齢者法領域のテーマ例
行政書士が扱う相続や遺言、後見、死後事務などに深く関連する問題を広く横断的に横串に刺して俯瞰し、また高齢者の権利擁護(死後も含む)について行政書士が取り組むべき社会問題になっているテーマとして、以下のもの(例)があると考えております。
相続、遺言、民事信託、遺言代用信託、法定後見、任意後見、生命保険、医療保険、介護、リビングウィル、事前指示書、アドバンスディレクティブ、社会保障手続き、代理人カード等の金融機関手続き、リースバック、リバースモーゲージ、死後事務、尊厳死宣言、終末期医療、財産管理、遺言執行、見守り契約、入院入所手続きと保証人、葬儀、墓、墓じまい、改葬、海洋散骨、手元供養、祭祀承継、特殊清掃、遺品整理、残置物処理、デジタル遺産、住居賃借、入居保証、孤独死保険、自治体でのおくやみコーナーの開設、内閣官房IT総合戦略室の推進する「死亡・相続ワンストップサービス」の拡充などなど…。
超高齢社会特有の高齢者に関連する法領域問題についての全般をターゲットにするもので、行政書士業務的には市民法務以外に行政(公共政策提言など)や許認可手続きを含むものです。
*業務内容例
当該部署においては、上記のテーマに関する調査研究、政策提言を行うこと及び官公署・各種団体(*)などと連携・協働すること模索して、それらに対してアクションを起こすこと、並びに会員に対する情報提供を行うことなどが考えられます。
(*)例
総務省、法務省、厚労省、デジタル庁、内閣官房、公証役場、都庁、区市町村、社協、地域包括支援センター、弁護士会、税理士会、銀行協会、信託銀行協会、生命保険業界団体、尊厳死協会、海洋散骨協会、医師会、病院、老人ホーム、墓園協会、葬儀業者団体、手元供養協会、看取り士会、散骨事業者団体、遺品整理業界団体、葬送文化学会、墓石業界団体、終活関連出版社、仏教協会、生前整理・死後事務事業者団体など
それによって、高齢者法の幅広い分野に行政書士が関わっていて、行政書士の社会的役割が大変重要になっていることを官公署・各種団体に認識していただき、もって、行政書士のプレゼンスを高めることをも目的とするものです。
「高齢者法及びその関連法領域」というのは幅が広く漠としていますが、終活・財産管理・後見・民事信託・葬儀葬祭・死後事務などの高齢者の法的課題解決と権利擁護に重点を置き、高齢者法及びその関連法領域を俯瞰して総合的横断的に対応することを目的としますが、東京都行政書士会内の他の関連部署やヒルフェが扱う業務と重複している部分は適宜連携することが必要と思います。
当該部署では、幅が広いテーマを区分するとすれば次のようになるかと思います(例)。
① 医療・福祉分野
医療保険、介護、事前指示書、アドバンスディレクティブ、社会保障、終末期医療、入院入所手続きと保証人、他
② リビングウィル・信託・後見・遺言執行・生前死後事務・財産管理分野
相続、遺言、民事信託、遺言代用信託、法定後見、任意後見、リビングウィル、死後事務、尊厳死宣言、財産管理、遺言執行、孤独死、見守り契約、特殊清掃、遺品整理、残置物処理、終活の啓発、家族じまい、他
③ 金融・生命保険・不動産・デジタル分野
住居賃借、入居保証、孤独死保険、リースバック、リバースモーゲージ、生命保険契約、代理人カード等の金融機関手続き、デジタル遺産、他
④ 祭祀・葬儀・墓分野
葬儀、墓、墓じまい、改葬、海洋散骨、手元供養、祭祀承継、無縁遺体、無縁遺骨、火葬待ち、遺体ホテル、内閣官房IT総合戦略室の推進する「死亡・相続ワンストップサービス」の拡充、自治体でのおくやみコーナーの開設、葬儀業及び遺体保管業の許認可届出の創設、他
*結び
超高齢社会にあっては、行政書士の「身近な街の法律家」としての役割が一層増大していることを踏まえ、高齢者を取り巻く高齢者等終身サポート問題等の法的諸課題に明るい市民の為の身近な法律家、かかりつけ行政書士として、更なる飛躍をすることが喫緊の課題であると考えています。
このことにつきましては、ぜひ当該部署を独立したセクションとして発足させることを検討していただけますと幸いに思います。
以上
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終活・相続・遺言・
墓・葬儀「法務」
行政書士 鈴 木 俊 行
東京都杉並区阿佐谷
杉並区役所隣り
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