墓じまいや改葬、分骨の話し合いが決裂! 勝手に墓から遺骨を取り出したら?
- 鈴木俊行
- 2023年5月25日
- 読了時間: 3分
さまざまな事情から、
遠くの墓を住まいの近くの墓に移したい(改葬)、
墓を撤収して、海洋散骨・手元供養をしたい(墓じまい)、
墓の遺骨の一部を自宅で供養したい(分骨)
などの希望があるとしても、
「墓地を管理している親族(祭祀主宰者)や、関係遺族の承諾が取れない」
「自分が祭祀主宰者だが、関係遺族の承諾が取れない」
ということがあります。
遺骨を他の墳墓に移す為に、祭祀主宰者が役所から改葬許可(墓地、埋葬等に関する法律第5条)を得たとしても、
勝手に改葬すると後々に遺族関係者との間でトラブルになる可能性があります。
なお、分骨そのものについては、役所の許可は不要ですが、所定の手続き(墓地、埋葬等に関する法律施行規則第5条)が必要です。
墓地、埋葬等に関する法律
第五条 埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)の許可を受けなければならない。
墓地、埋葬等に関する法律施行規則
第五条 墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない。
2 焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者は、墓地等の管理者に、前項に規定する書類を提出しなければならない。
●勝手に遺骨を墓から取り出したら?
墓埋法に違反して、改葬や分骨の為に勝手に遺骨を墓から取り出したら、
墓地、埋葬等に関する法律
第二十一条 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
一 第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者
の規定によって罰則が適用される可能性があります。
この罪はかなり軽いですね。
ところが、刑法によって墓埋法の罰則より重く処罰される可能性もあります。
刑法
(礼拝所不敬及び説教等妨害)
第百八十八条 神祠し、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、六月以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
2 説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮又は十万円以下の罰金に処する。
(墳墓発掘)
第百八十九条 墳墓を発掘した者は、二年以下の懲役に処する。
(死体損壊等)
第百九十条 死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。
(墳墓発掘死体損壊等)
第百九十一条 第百八十九条の罪を犯して、死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。
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終活・相続・葬祭「法務」
行政書士鈴木俊行
「終活・葬祭法務ネットワーク協会代表」
東京都杉並区阿佐谷
杉並区役所隣り
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