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宗教法人の名義貸し違法経営。雪だるま式に納骨堂が破綻するリスク…寺に擦り寄りボロ儲け企む葬儀・仏具・石材業・外資系金融業の罠

「雪だるま式に納骨堂が破綻するリスク…

寺に擦り寄りボロ儲け企む葬儀・仏具・石材業・外資系金融業の罠。


葬儀社や石材店などが困窮する住職に擦り寄ってくる。」




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ロッカー式の納骨堂を運営する札幌の宗教法人が破綻した。


「墓」や「納骨堂」の経営は、

永続性が担保できる宗教法人に許可されてきた。

しかし、実際には宗教法人ですら破綻することがありうるのだ。


この10年ほどは大型納骨堂の建立が相次いでいるが、

早くも経営が行き詰まってきているところがでてきているといわれる。



葬儀社や石材店などの寺院周辺の民間業者が、

伽藍修繕などの巨費を必要としている住職に擦り寄ってくる。

そして、伽藍の修繕費を、

「無宗教式の永代供養納骨堂ビジネスで賄える」などと提案してくる。



民間業者には納骨堂経営の許可は下りない。


そこで、

擦り寄ってきた民間業者が、

宗教法人の名義を借りて納骨堂を運営することになる。

そして民間業者の資本で納骨堂が建設される。

そのため、納骨堂の永代使用料の売上げのほとんどは業者が手にし、

宗教法人にはほとんど入らないことが多い。




では、宗教法人のメリットは?


永代使用料は入らない替わりに、

葬儀や法事の布施が入る。


つまり、

納骨堂の建設費などの初期投資が不要であり、

また、布施収入が増える可能性を秘めている。

さらに伽藍修繕などを控えている寺院にとってはリスクの少ない事業のようにみえる。


納骨堂経営話は「渡りに船」ということになる。





そもそも、

民間業者が入っても、

納骨堂の建築工事などの事業の名義上の契約者は

宗教法人であることを忘れてはならない。


納骨堂建設や融資も、

宗教法人名義で進めることになる。

つまり名義貸しである。


納骨堂がオープンしても思うように売れなかったり、

あるいは民間業者の経営が傾いたりした場合に、

経営が傾き、

納骨堂ビジネスから撤退するとなると、

全ての責任は、名義を貸した宗教法人にあることは明らかである。


注意すべきは、

このようなスキームは多くの場面で利用されていて、

宗教法人が餌食になっている可能性がある。


宗教法人の「名義貸し」は違法である。



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名義貸しは墓地経営を都道府県知事の許可制とした墓地埋葬法第10条を潜脱する行為。

名義貸しが発覚したときは、墓地の経営許可は取り消される可能性があります。

墓地埋葬法20条第2号によって、名義を貸与した寺院は6か月以下の懲役刑又は2万円以下の罰金刑に処せられ、名義を借りた者もその共犯をして処罰される恐れがあります。


墓埋法

第10条 墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

第19条 都道府県知事は、公衆衛生その他公共の福祉の見地から必要があると認めるときは、墓地、納骨堂若しくは火葬場の施設の整備改善、又はその全部若しくは一部の使用の制限若しくは禁止を命じ、又は第十条の規定による許可を取り消すことができる。

第20条 左の各号の一に該当する者は、これを6箇月以下の懲役又は5千円以下の罰金に処する。

一 第10条の規定に違反した者

二 第19条に規定する命令に違反した者



他人任せの霊園事業の「名義貸し」は、以下の通知により禁止されている行為。


「墓地経営・管理の指針等について(平成12年12月6日)(生衛発第1764号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生省生活衛生局長通知)」(抄)○ いわゆる「名義貸し」が行われていないこと。

「特に宗教法人の墓地経営を許可する場合には、宗教法人の名を借りて実質的に経営の実権を営利企業が握るいわゆる「名義貸し」の防止に留意することが必要である。この「名義貸し」については…次のような場合が考えられる。

まず寺院(宗教法人)に対して石材店等の営利企業(仮にA社とする。)が墓地経営の話を持ちかけ、この寺院はA社より資金その他について全面的なバックアップを得て墓地経営の許可を受ける。

ところが当の寺院は墓地販売権を始めとした墓地経営については実質的に関与しない取り決めがA社との間で交わされている。

そしてA社は墓地使用権とともに墓石を販売して多大な収益を得るが、これは一部を除いて寺院の収入とはならない。

しかしながら、使用者とのトラブルについては、最終的な責任者は寺院にあるとしてA社は責任を回避する。

そして、運営の安定性を欠いたままで、後には資金力のない寺院と墓地だけが残る、といったような事例である。

こうした事例で最も被害が及ぶのは墓地利用者である。…宗教法人の側も、自らが墓地経営の主体であることを十分に認識して事業に着手することが重要である。」



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名義貸しには、以下のようなリスクがあります。


墓地経営許可の申請、墓地造成工事契約など全ては寺院名義。

法的責任は寺院が負います。


事業会社は寺院の責任役員として参画することが通常のため、

営利を追求する寺院運営を強いられる可能性があります。


永代使用料、墓地管理料のほとんどは事業会社に入ることになり、

墓地の規模、管理方法によっては、

墓地区画完売後に収支が赤字に転落する可能性があります。




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墓地の名義貸しの裁判例


名義貸しによって受けた墓地経営許可を取り消された処分について、経営許可取消処分の取り消しを求めた訴訟で、裁判所は以下のように論じて、名義貸しは経営許可取消事由に該当すると判断しました(さいたま地裁H17.6.22)。


「墓地の経営許可における名義貸し行為は,名義を貸した者が形式上経営の許可を受けることによって,名義を借り受けた者が何ら行政上の手続を経ることなく実質的に墓地を経営することになるのであるから,無許可で墓地経営を行うことを助長し,隠ぺいする行為であって,上記のような法の趣旨を潜脱するものというべきである。


また,実質的にみても,名義貸し行為が行われると,名義を借りた者が実質的な経営者として墓地の永代使用権の販売等により利益を得ることになる一方,墓地利用者とのトラブル等の最終的な責任は何ら資金力のない名義を貸した者が負うことにもなり,最終的には墓地利用者の利益を害するおそれもある。


とすれば,そのような名義貸し行為によって何ら法的手続を経ないで墓地の経営を行うことは,特段の事情がない限り,それ自体墓地の永続性及び健全な経営の確保を著しく害するおそれのあるものというべきである。」





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終活・相続・葬祭「法務」 行政書士鈴木俊行 葬儀葬祭法務特捜

東京都杉並区阿佐谷 杉並区役所隣り

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